誰しもが、毎日、小さなストレスを抱えながら生きています。身体的、環境的、あるいは感情的な変化など、その要因はさまざまですが、どんな種類のものであっても、ストレスは私たちの肌に悪影響を及ぼすと言われています。


ストレスと肌の関係性


精神状態が肌に現れるということは、皆さんも既にご存知かもしれません。「ストレスや疲れが溜まると、肌が荒れる」と実感したことがある人も多いでしょう。

このような精神的な疲労による肌へのダメージを防いだり、治したりするためには、肌とストレスの関係をしっかりと理解することが重要です。

私たちの身体は、大きなストレスを感じると、体内の生理的反応を刺激する化学物質である「コルチゾール」などのホルモンが分泌されます。ストレスによってコルチゾールが過剰に分泌されると、他のホルモンバランスが乱れてしまいます。そして、このホルモンバランスの乱れは、皮脂分泌の増加を促します。結果として、ニキビや赤みなどの肌荒れに繋がってしまうのです。

日々の仕事での小さなストレスであれば、十分な睡眠を取ることで解消されるかもしれません。しかし、この2年近く続いている新型コロナウイルスの流行は、私たちの今までの生活を壊してしまっています。「コロナウイルスが続く限り、ストレスを完全に取り除くことは、不可能」と思ってしまう人もいるかもしれません。

しかし、それでも日々の生活を工夫して、できる限りストレスを取り除くことは大切です。小まめにストレスを解消することは、美肌のためだけでなく、ウイルスから身体を守ることにも役立ちます。身体で最も大きな器官でもある皮膚は、身体の外部環境と内部組織との間のバランスを維持する役割を担っており、バリア機能や免疫機能があるからです。


ストレスにより引き起こされる肌トラブル

ストレスは、視床下部、下垂体、副腎という軸を通じて皮膚に現れ、体内でホルモンと免疫の一連の反応に拍車をかけます。その結果、以下のようなさまざまな反応が引き起こされる可能性があります。

ニキビ:コルチゾールが増加すると、他のホルモンバランスが乱れ、皮脂の分泌の増加を招きます。それが吹き出物の原因となってしまうことも多いです。加えて、ストレスは腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスも崩してしまうため、ニキビの発生を加速させてしまいます。 

 老化:ストレスは、肌のバリア機能を低下させます。バリア機能が損なわれることで、角層の水分が失われたり、コラーゲン組織を破壊をしたりして、肌の老化を早める可能性があります。 

 赤み:ストレスにより免疫力が低下すると、肌に炎症が生じやすくなり、湿疹やアトピー性皮膚炎などの疾患を悪化させるリスクがあります。また、ストレスを感じると、肌をひっかいたり、掻いたりする癖がある人もいるかもしれません。そのような刺激を与えると、肌の赤みや湿疹がさらに悪化してしまいます。何か別のストレス解消法を見つけるようにしましょう。  

 クマ:ストレスで不眠気味になってしまう人も少なくありません。なかなか眠れない日が続くと、目の下に水分が溜まりやすくなり、クマが目立つようになります。クマは、ベッドから起き上がることで重力がかかり、さらに悪化して見えることもあります。 

 

アンチストレス・スキンケアとは?

 このように、ストレスが肌へ及ぼす影響は小さくありません。しかし、日頃からストレスを解消し、適切なお手入れをすることで、肌へのダメージを防ぐことは可能です。ストレスに負けない肌を作るのが「アンチストレス・スキンケア」です。

具体的に言うと、アンチストレス・スキンケアでは、ストレスによって引き起こされる炎症や、低下した肌のバリア機能の修復を目指します。多くの場合、有効成分配合のスキンケア製品を使いながら、ストレスや、ストレスによる肌ダメージに対処していきます。例えば、抗酸化物質、ビタミン、ペプチドなどの強力な天然抽出物は、肌のさまざまなストレスを改善するのに役立つことが知られています。

ところで、このようなアンチストレス・スキンケアを行う前に、注意しておくべきことがあります。それは、「自分の肌の声によく耳を傾ける」ということです。

スキンケアを行う前に、今、あなたの肌が本当に必要としているものは何なのか、自分に問いかけてみてください。例えば、肌が敏感になっていると感じるなら、刺激の少ないケア製品を使うべきです。カサつきがる場合は水分補給が必要で、ディープクレンジングとオイルコントロールが役に立つ場合もあるかもしれません。エイジングケアを優先すべき日もあるでしょう。毎日の肌の状態に合わせて、アイテムを選びましょう。

また、美肌のためには健康的な食事も欠かせません。特にビタミンA、C、E、Bは健やかな肌を作ってくれます。これらのビタミンを豊富に含む食品を毎日の食事に取り入れるとよいでしょう。食事から摂るのが難しければ、サプリメントから摂取しても良いですね。

肌へのダメージを軽減する4つのストレス対処法

ストレスを完全に消し去ることは難しいかもしれません。しかし、毎日の小さな対策によって、肌や心へのストレスは軽減できます。まずは、食事と睡眠を決まった時間に取る規則正しい生活を心がけましょう。さらに、ヨガや瞑想は、コルチゾールの分泌や炎症を抑える効果が知られており、ストレス解消に最適です。

さて、ストレスが原因の肌荒れを改善するには、まずは根本のストレスに上手に対処することが大切です。今回は、手軽にできる4つの簡単なコツを紹介します。

1. 肌のバリア機能を高める

スキンケア製品を選ぶ際には、抗酸化物質、ビタミン、セラミド、アミノ酸、保湿剤などの回復成分を含むマイルドなアイテムを探しましょう。洗顔料は肌に刺激の少ないものを使い、その後に自分の肌質や肌の状態に合った化粧水やクリームでしっかり保湿してあげます。ちなみに、美容液などのケアアイテムは、つけすぎると肌のバランスを崩す引き金にもなってしまいます。少量を手に取り、よく馴染ませるように塗布しましょう。

2. 良い香りに包まれる

香りは、心と身体をリラックスさせるのにとても効果的です。アロマテラピーの世界では何千年も前から、ラベンダー、カモミール、ベルガモットなどのエッセンシャルオイルが、人々に落ち着きを与えるために使用されてきました。

香りは、日々の習慣に手軽に取り入れることができます。例えば夜、なかなか寝付けないときは、ミネラルソルトとハーブを入れたお風呂に入り、ラベンダー入りのオイルやローションでマッサージをすると良いでしょう。さらに寝る直前に、鎮静作用のあるルームミストを寝室と枕元に少量スプレーすると、スッと眠りにつけるはずです。

3. フェイスマスクでリラックス

1日の終わりに、フェイスマスクで顔全体をパックするのもおすすめです。自分の肌に合ったシートをつけ、リラックスできる音楽を聴きながらソファで15分ほど過ごしてみましょう。一日のストレスが解消されるのを実感できるはずです。ゆっくりと自分の世界に浸るために、携帯電話の電源は切っておいてくださいね。

4.トリートメントを受ける

スペシャルケアとして、エステやスパでトリートメントを受けてみるのもおすすめです。ストレスの多い生活を長く続けていると、肌のバランスを整えるためには、ちょっとプロの手を借りることも必要です。保湿成分やオメガ脂肪酸を多く含むオイルを使用したトリートメントを選び、リラックスしながら肌のバリア機能を高め、失われた輝きやハリを取り戻しましょう。