「自分たちの自然な美しさや一人ひとりの違いを称え、作られた『理想の姿』に合わせることをやめたとき、私たちは自分自身とお互いのことを心から受け入れられるようになるでしょう」- Emi Schemmer / MOSAIK創業者

 

日本人の母とドイツ人の父の間に生まれ、カナダのトロントで育ったEmiは、幼い頃からさまざまな視点で物事を見る習慣がついていました。しかし、「美」と「肌」に関しての考え方には、いつも少し迷いを感じていたそうです。

 

皮膚科医である父の背中を見て育った彼女は、肌の「美しさ」だけでなく、肌が持つ機能や一人ひとりの特徴の違いについても興味を持っていました。日本人の母を持つことから、セルフスキンケアの重要性を強く感じていたという彼女。しかし、彼女自身の肌は、さまざまな化粧品ブランドが作る「理想の肌」の基準を満たしているわけではありませんでした。

 

「若い頃、父の皮膚科を手伝う中で、人の肌は一人ひとり違うだけでなく、常に変化しているということを学びました。このことが、私を魅了したのです」

 

父の診療所の見学や、国際医療ボランティアへの参加がきっかけで、健康やウェルネスへの関心が高まった彼女は、大学・大学院では健康科学、栄養学、補完的自然診療を学びました。

 

Emiが興味を持ったのは健康や福祉だけではありません。起業家精神とクリエイティビティも併せ持つ彼女は、ビクトリア大学在学中に最初の会社「DesignItMedia」を立ち上げました。彼女は「アイデア」「デザイン」、そしてさまざまなブランドと仕事をすることで得られる「爽快感」にすぐに魅了されたと言います。

 

ビクトリア大学を優秀な成績で卒業した後、2008年には母の故郷である東京に移住し、ハイブリッドなクリエイティブ・プロデューサーとしてのキャリアを積み上げます。そして10年以上にわたり、国内外の数え切れないほどのブランドと仕事をしてきました。それらの仕事を通して、彼女はこれまでにない形のストーリーテリングやブランディングの手法を生み出し続けました。

 

そんな中でも彼女は特に、健康、ウェルネス、サスティナビリティ、社会の平等性に強い関心を持っています。ファッションブランドや化粧品ブランド、ライフスタイルブランドでの仕事では、豊かな創造性やアートディレクションの才能を活かしながら、斬新かつ魅力的で、多くの人の心を動かすような作品を生み出しています。自然体で革新的な発想をする能力が、彼女の仕事の方向性やスタイルを決める基礎となっているのでしょう。

 

これらのクリエイティブな仕事に加えて、Emi は世界中の新興アーティストをサポートする現代アート財団「OKA」の共同創設者も務めています。同時に彼女は、ブランドへの投資家、そしてアドバイザーでもあり、 ファッション、美容、健康についての専門家として、著名な出版物にも寄稿しています。多忙な彼女は、アムステルダムと東京を行き来しながらの生活を続けていました。

 

複数の業界でグローバルな経験を積んだ後、彼女はMOSAIKを立ち上げました。そのきっかけは、スキンケア市場に欠けているものがあると感じたことだったと言います。

 

そして彼女は、彼女自身の価値観を体現できるようなスキンケアブランドを作ろうと決意します。その価値観とは、アンチエイジングや美白など、いわゆる「完璧な肌」という画一的な理想を持たない世界の実現です。彼女は、これを叶えるためには肌質、地肌の色、肌年齢に関わらず、効果を実感できるようなスキンケア製品を開発することが重要だと考えました。

 

またEmiは、ヘルスケア業界が医薬品的でありすぎる一方で、美容業界があまりにも商業的で表面的であることに不満を感じていました。彼女は父親のクリニックを見て、現代のスキンケアアイテムによく含まれる化学物質の代わりに、より安全で自然なものを利用する研究や、代替ケア技術にもっと注目するべきだと思い至ったそうです。

 

「私がMOSAIKを始めたのは、私自身が自分の肌に使って満足できるようなアイテムを作りたかったからです。特に私は、混合肌向けのスキンケア製品にはいつも物足りなさを感じていました。また同時に、アンチエイジングや美白、いわゆる『完璧な肌』という画一的な理想を壊せるようなブランドを作りたかったという思いもあります。肌質や肌の色、肌年齢を問わずに使える、包括的でありながら効果を感じられるスキンケアアイテムを作りたかったのです」

 

MOSAIKの製品は、親子2世代によって作られたと言えるでしょう。Emiの父親が生涯をかけて肌の複雑さを理解してきたことと、彼女の「すべての肌タイプに適したスキンケアを作りたい」という情熱から生まれたブランドです。2年間のうちに、綿密なリサーチ、慎重な材料調達、数え切れないほどの処方研究と再調整を重ね、ついにMOSAIKは誕生しました。情熱を傾けていた夢が現実のものとなり、Emiはこれ以上ない喜びを感じています。 

 

「私は、大好きで、誇りに思えて、自信を持って人に勧められるだけでなく、100%信頼できる製品を作ることができました。MOSAIKは単なるスキンケア・ラインではありません。それはライフスタイルであり、意識であり、グローバル・コミュニティです。世界はさまざまなものが寄せ集まってできたモザイクのようなものだと思います。自然のモザイクがあり、文化のモザイクがあり、人々のモザイクがある。そして肌のMOSAIKが生まれたのです」