文:Emi E. Schemmer
女性に比べて男性の肌は分厚く、コラーゲンを多く含み、潤っていると言われています。そのため、理論的に考えれば、同年代の女性より10〜15歳は若く見えるはずです。しかし、必ずしもそういうわけではありませんね。
なぜなら、男性の多くは女性ほど時間をかけて真剣にスキンケアに取り組んでいないからです。その結果、30代後半になる頃には、ニキビや肌荒れ、赤み、くすみなどのトラブルが現れてしまう人も多くいます。
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「男のスキンケアは、髭を剃ってアフターシェーブローションをつければ、それで充分」と思っている人は、考え直した方が良いかもしれません。男性であっても、しっかりと日々のスキンケアを行うことで、ニキビの発生を抑えて肌荒れを予防し、目に見える老化のサインを防いでくれます。これは身だしなみを整えるために欠かせないものとも言えるでしょう。
毎日、ほんの数分の簡単なケアを取り入れること。それだけで、あなたが予想しているよりもずっと早く、肌の違いに気付くことができるのです。
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年齢や生まれ持った肌の色に関係なく、スキンケアは重要なものです。ここでは、男性のよくある5つの肌トラブルについて、原因と対策方法をご紹介します。
お悩み1:乾燥肌
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肌の乾燥のしやすさは人それぞれです。しかし、男性の多くは1度は乾燥を経験していると言われています。乾燥は、天候や湿度の変化、刺激の強いスキンケアアイテムの使用、水分不足、ストレスや寝不足など、さまざまな原因によって引き起こされます。
対策方法
乾燥肌を治したい場合は、朝晩2回の洗顔のうち、洗顔料の使用は夜の1回だけにして、朝は水のみで洗うことがおすすめです。洗顔料は、敏感肌用のものを選んでください。クリームタイプの洗顔料は保湿力が高く、肌のバリア機能を維持してくれるため、理想的です。
反対に、 過酸化ベンジル、AHAサリチル酸などの成分を含んだ洗顔料は使わないようにしましょう。これらはオイリー肌向けの成分であり、長期にわたって使用すると、肌をより乾燥させてしまう可能性があります。
また、美容液や保湿クリーム、軟膏の利用もおすすめです。これらのアイテムには、肌本来のバリア機能を高め、肌の水分量を保ってくれる働きがあります。日中は美容液、就寝時には保湿クリーム、というように使い分けるとさらに効果的です。
美容液を使うなら、アロエベラ、ビタミンE、ペプチド、またはヒアルロン酸などの保湿成分が多く含まれているアイテムがおすすめです。男性用と記載されている製品にこだわらず、視野を広げて探してみましょう。
保湿クリームは、ニキビのできにくい「ノンコメドジェニック処方」のものが良いでしょう。さらに、オイルフリー、無香料、そしてできるだけ少ない成分で作られているものだと安心です。
お悩み2:オイリー肌
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皮膚の中層には「皮脂腺」と呼ばれる器官があります。皮脂腺の役割は、天然の潤滑油を分泌し、皮膚を保護することです。この潤滑油は皮脂と呼ばれ、女性よりも男性の肌に多く分泌される傾向があります。しかし、皮脂が過剰に分泌されてしまうと、脂っぽい印象を与えてしまいます。
皮膚科医によると、男女の皮脂分泌量の差は、ホルモンバランスの違いによって簡単に説明できるそうです。男性にはDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれるホルモンがあり、このホルモンの量が多いと皮脂の分泌量が多くなるとのこと。
しかし、必ずしもオイリー肌は悪いことではありません。乾燥肌に比べて潤いがあるため、しわが少なく、ハリがあり、肌が明るく見える傾向があります。結果として、より美しく肌年齢を重ねられるでしょう。
エイジングケアでは、肌に分泌される天然のオイルを取り除くことなく、肌の状態を見ながら適切にケアを続けることが大切です。結局は、自分の肌を理解しながら、常にバランスを整えることが重要なのです。
対策方法
オイリー肌に悩んでいる場合は、専用の洗顔料を使って1日2回、朝と寝る前に顔を洗ってください。ただし、洗顔のしすぎは肌を過度に乾燥させ、皮脂分泌をさらに過剰に引き起こし、吹き出物ができやすくなることもあるので注意しましょう。肌のバランスを整えるためには、適切な量の油分も必要です。過度な洗顔で乾燥が進むと、肌は本来の状態に戻ろうとして油分を過剰に分泌してしまいます。
また、週に1~2回、スクラブ洗顔をすることもおすすめです。肌全体の質感や明るさが大きく変わり、油分のコントロールがしやすくなることを実感できるでしょう。スクラブは、正しく使えば1日の間に蓄積された角質やゴミ、余分な油分を取り除くのに役立ちます。ただし、強くこすりすぎたり、あまり頻繁に使いすぎたりしないように注意してください。スクラブを購入する場合は、天然素材のものや、粒子が細かいものを選びましょう。また、洗顔後に使う専用のフェイスタオルを用意することも効果的です。そうすることで、さらに肌を清潔に保つことができるでしょう。
フェイスシートやあぶらとり紙を持ち歩くのも良い方法です。男性用のウェットタイプのフェイスシートは、汗や脂、毛穴の詰まりの原因となる汚れをスッキリと除去してくれます。ブランドによっては、抗菌剤も含まれており、細菌の繁殖によるニキビの発生を防ぐこともできます。
あぶらとり紙は、肌の余分な油分を素早く吸収してくれます。 シートが半透明になるまで、気になる部分を軽くたたくだけで余分な脂が除去されます。あぶらとり紙を使ったからといって、肌が乾燥しすぎることもありません。フェイスシートもあぶらとり紙も、コンビニやドラッグストアなど、どこでも簡単に手に入れられます。
お悩み3:にきび・吹き出物
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大人ニキビは、思春期以降の男性によく見られる肌荒れのひとつです。ストレスや生活習慣の変化、食生活の乱れなどが原因であることが多いと言われています。また、女性に比べて男性の肌は皮脂分泌が多く、毛穴も大きいため、吹き出物ができやすいです。
対策方法
市販薬での治療から自然療法、皮膚科医が処方する薬の服用まで、ニキビや吹き出物に対処できる方法はさまざまです。できてしまったニキビをピンポイントで治療することも可能ですが、適切な洗顔料で日々のケアをしっかり行うことで、発生を未然に防ぐことができる場合もあります。
具体的には、サリチル酸、ティーツリーオイル、カレンデュラなどが配合された洗顔料を探してみてください。これらの成分は、毛穴を深くまで洗浄し、肌の表面から古い皮膚細胞を除去するのに役立ちます。
また、軽度から中等度のニキビ治療には、レーザーフェイシャルトリートメントも効果的です。レーザー治療で使用される光には、ニキビの原因となるバクテリアを殺し、炎症を抑え、さらに肌の全体的な質感を良くする働きがあります。ただし、重度のニキビや慢性的な吹き出物がある場合には、皮膚科医に相談した上で治療を受けてください。
お悩み4:カミソリ負け
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カミソリ負けは、男性の60%以上が経験しているとも言われる、最も一般的な肌トラブルのひとつです。髭剃りによって毛が巻き込まれたり、毛根に炎症が出たりすることで引き起こされます。
特に、毛がまっすぐ伸びずに皮膚の下に入り込み、小さなカミソリ負けやニキビのような炎症を起こすことが多いようです。毛が太かったり癖毛だったりする男性は、特にカミソリ負けしやすいと言われています。
しかし、そうでない人であっても、髭を剃るのであれば誰しも一度はカミソリ負けを経験することでしょう。刺激の強いアフターシェーブローションが肌トラブルを引き起こすこともあります。全ての男性が、髭剃りによる肌荒れの対処方法を知っておくべきと言えます。
対策方法
カミソリ負けのケアは、多くの場合、肌に大きな負担をかけずに回復を待つだけで良いです。すでに皮膚が炎症を起こしている状態なので、過度にケアをするとさらに悪化してしまうこともあります。何か対処をするとしたら、冷やしたタオルを数分当てたり、アロエベラ配合の化粧水を試したりして、患部を落ち着かせると良いでしょう。
カミソリ負けを防ぐには、髭剃りの際のスキンケアを少し見直すのが最も効果的です。 その方法は次の通りです。
髭を剃る前に、まずぬるま湯で顔を温め、肌を湿らせ毛を柔らかくしておきましょう。そうすることで、カミソリの滑りがよくなり、肌を巻き込んで沿ってしまう可能性が低くなります。カミソリの切れ味も上がるため、より速く、より綺麗に剃れるようになるでしょう。
適切なスキンケアアイテムを選ぶことも大切です。シェービングクリームやジェルを使う場合は、肌と刃をしっかり潤滑してくれる製品を選びましょう。また週に1~2回、夜のお手入れ時に、フェイススクラブを使用することもおすすめです。吹き出物がグッと減り、肌がみずみずしく明るくなり、その違いにすぐに気づけるはずです。
また、シェービング後のケアも重要です。まずは冷たい水で顔をすすぎましょう。そうすることで、顔に残った小さなゴミや細かい毛を取り除き、毛穴をしっかり閉じることができます。開いた毛穴を引き締めることは、髭剃り後のケアで最も重要なことです。
アフターシェービングローションを使いたいなら、それでももちろん問題ありません。特に赤みや吹き出物が出やすい人は、ローションを使って優しくパッティングすることで、毛穴を殺菌し、清潔に保つことができます。
お悩み5:赤み
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慢性的な顔の赤みに悩んでいる方もいるかもしれません。顔の鼻の周辺や頬の上部に小さな吹き出物や赤みが慢性的・長期的に現れるのは「酒さ」と呼ばれる皮膚疾患です。この皮膚疾患の原因はよく分かっていませんが、過度の飲酒、辛い食べ物、カフェイン、熱い飲み物、激しい運動などが赤みの誘因と関連していると言われています。
対策方法
慢性的な顔の赤み(赤ら顔)は、治療が難しい皮膚疾患です。しかし、赤みの程度を和らげる方法がいくつかあります。
まずは、赤みを悪化させる原因を考えて、それを避けるようにしてください。痒みが生じたり、痛みが生じたりする場合には、皮膚科を訪れて適切なケアと治療を受けましょう。また、敏感肌用のスキンケア製品を使用することや、SPFの高い日焼け止めを塗ること、極端な暑さ・湿度を避けること、ストレスを軽減することなども効果的です。
「赤ら顔は治療できないし、隠すことも難しい」と感じてイライラしてしまう男性も多いかもしれません。しかし、自分の肌を理解して適切なケアをすれば、治療と改善が可能なのです。